クラブスレイジーにおける伝説

今から7年前のこと。
伝説の男が謎の失踪を遂げた。

(CoolBeans, 「Club SLAZY The 2nd invitation ~Sapphire~」)

 7年前のトップエース。かつてのレイジー。たったひとりの男が“伝説”とまで言われている。
 その男の名前はキング。「Kから始まる名前はKing」。王様。キング。これを個人の名前にすることの重大さ、ものすごいと思います。

 この話もう少し詳しく考えてみたい。名前について。とりあえず今は置いておきます。
 それにしてもこれを上回る名前にしたかったらなんだ、ゴッドとかしかなくないですか? 知らんけど…(適当)

キングが伝説である理由

 彼はなぜ“伝説”なのでしょうか? 他に伝説と言われる者はいません。ということは、彼にあってみんなにないものがある……はずです。

予想を覆すジーズの順位付け

 7年前は、クラブスレイジーの革命事件があった年。それまで支配人を務めていたミスターXが突如その座を退き、次期オーナーに当時セカンドエース兼代理トップエースを努めていたジーズを指名するところから始まります。
 そしてジーズは、それまで次期トップ候補と言われ続けていたオッズではなくキングをトップエースに選んだ。ジーズの真意はどうであれ、まず店の全体の空気としては「なぜオッズではなくキングが」という受け取り方になったのではないかなと思います*1
 この順位付けは店全体に動揺が起こったと思うし、その面でもキングにとってはプレッシャーだった*2のかもしれない。

華々しいトップエース、期間とその儚さ

 キングは7年前に失踪しています。そしてCSL4で描かれている8年前の時間軸で、彼はまだフォーススター*3。つまり、どんなに長くても1年程度しか彼はトップエースを務めていないことになります。

 ということは、彼はその1年で“伝説”とならなきゃいけないわけだ。もしかしたらこの期間についても伝説となる要因の一つかもしれない。
 何となく歴代トップエースのトップ在籍期間を並べてみます。

名前 いつトップになったか いつまでトップだったか トップ期間
Ya 不明 10年前 不明
King 7年前 7年前 1年未満~2年未満
Will 不明*4 3年前 ~3年未満
Act 3年前 1現在時間軸*5/AW現在時間軸*6 3年〜3年半
Deep 5ラスト    

 こう並べてみると……といっても正直ヤーとウィルには不明点も多いので比べることは出来ませんが、やはりキングは短いのではないでしょうか。

パフォーマー・トップエースとしての素質

 そもそもトップエース・キングの、そのトップエースらしさたるや。そりゃもうすごい。この人が伝説のトップエースですと紹介されたら、なるほどそうだろうと思わされる。説得力がある。ここまでスーパーウルトラ主観です。

 もちろんそれだけではありません。

お前は目で見るだけ。しかしシャーロックホームズは心で物を見る。

[……]

シャーロックホームズは最初から推理なんかしてない、人の心までをも観察するから、最初から人の心の変化にも気づいているのだ。
それをできるのが、トップ、エース。
キングにはそれができる、というわけだ。

(Zs, 「Club SLAZY The 2nd invitation ~Sapphire~」)

 トップエースとは客席を心の目で見ているのだと。キングにはそれができると。ジーズにはこう語られていました。

 直接、このようなトップエースの素質の有無について語られたレイジーはキングのほかいません。ヤーは不明。ウィルも「○○だからトップ」に、という語られ方はしていません。アクトも……まあアクトはちょっと罰という意味合いが強いのかな……ディープについても、その選出理由について明確にはなっていません。

 語られていないからといって彼らにシャーロック・ホームズ的トップエースの素質がないとは言いません。ただ、語られているキングについては、もしかしたらこれが伝説たる要因のひとつと捉えてもいいのではないかな? と思います。

(追記2017/06/09:
 しかし、シャーロック・ホームズが出てくるのはCSL2とCSL4だけ。CSL4もオッズが「なぜ分かる? もしやシャーロック・ホームズか?」とCSL2のジーズの同様の台詞をなぞるだけなので、あまりあてになるものとは言えません。
 もう忘れられた、あるいはなかったことになった設定なのかもしれない。悲しい。)

キング自身が元々持つ、その人柄

そしてあの時代、伝説のトップエースが誕生しました。
ぼくらとは違い、あなたはいつも自分に正直な人でした、だからみんなが憧れた。

(Q, 「Luv Slazy Ⅱ」)

 ラブスレⅡの中で、Qは彼をこう説明します。
 “いつも自分に正直な人”。確かにキングはそういう人だと思う。

 CSL2本編では本来の人柄*7があまり描かれていなく、トップエースのプレッシャーに押しつぶされた結果表に出てきた傲慢なトップエース像の印象のほうがおそらく強い。
 それでも、キングは自分に嘘をついたことはないなあ。

 そうなると、彼はやはりQの言うとおり自分に正直な人ですね。

 そもそもなんですが、ここでいう“みんな”とは一体誰のことなのでしょうか? Q自身も含まれているのかな。「ぼくらとは違い」なのだから、少なくともQはQ自身を「自分に正直」だとは思ってない、とも取れますね。
 “みんな”が誰か定かではありませんが、「自分に正直」でいられない人にとっては心惹かれる存在だったのかもしれないなあ、キングは。

時間経過とあいまいな情報

 以前ちょこっとつぶやいたとおりです。
 伝説と呼ばれる今、クラブスレイジーにキングを直接知る人はどれほどいるのでしょうか。

 クールビー。Q。ジーズ。レティはどうやら昔を知っているような口ぶりでもありました。8はあまりレイジーたちの揉め事に興味関心はなかったんだろうか、知らないみたい*8だし。

 私はこれが一番強い要因だと考えています。上のほうで「1年で伝説にならなくては」というようなことを言いましたが、そんなことはありません。1年でしなくてはいけなかったのは、伝説になる準備。もちろんキングの意図したことではなく、さまざまな偶然が重なった結果ですが。
 キングは年月をかけて伝説になったはずです。それはもちろん、1年の華々しい実績なしではなりえません。1年の実績と、突然姿を消したことが組み合わさり、7年近くをかけて伝説になっていったんだと思います。

 ちなみに「Kingdomというものが彼の失踪のときに使われ始めたのだとしたら余計キングの伝説化を加速させたのかもしれん」というのは、私が以前したKingdomの考察で私が仮定したものを元にしたツイート(下)です。

実際Kingdomという呼称事態はたとえばトップエースなどが突然店からいなくなった場合の、キューちゃんによる建前なのかなと思ったりもした

正直何度も何度もトップエースやらセカンドエースが消えてくってどう考えても異常だし、混乱が起きかねないからキューちゃんが「彼らは伝説となり、次のステップに進まれたのです」みたいな半分本当半分嘘として言ったんじゃないかなと

でも〜〜Kingが先かKingdomが先かって言ったらKingが先だとおもってます 身分・階級が元々あるのに、ましてや店の外を指すものの名前なのに、それをあとから人に名付けるか? KingdomにKingなんて、まるでキングが店を出て行くことが最初から決まっていたようで……

 Kingdomの話もまたするかもしれませんが、現時点でKingdomに所属していると断言されたのはクラブスレイジー2におけるキングとオッズだけです。
 オッズは現在店にいるので、今の姿をKingdomというかどうかはわかりませんが、以前までのはそこに属すると、少なくとも店側からは認知されていたはず。Kingdomと呼ばれた二人が、自分たちをKingdomと認識していたかは不明ですが。

まとめると

キングが伝説である理由

  • 次期トップエース候補であるオッズを抜いてトップエースとなった。
  • おそらくはじめは反発もあった*9が、キングがトップエースとして素晴らしいパフォーマンスをしていくことで徐々に認められていった。
  • トップエースとして華々しい活躍をしていたが、1年程度で突如その姿を消した*10
  • (QによるKingdomという新たなものの提示で、さらに“伝説感”が補強された。)
  • あいまいな情報と時間経過で、噂話の要領で話が誇張されていったり改変されていって語られた。

 以上のことが考えられるかな? と思いました。


おまけ・ウィルが求めた伝説

 クラブスレイジーには「伝説」について触れた人間がもうひとりいます。

檻の中に収まるな! お前の教育係が途方もなくデカい存在だったって…
伝説になれるんだよ! トップエースなんて小さなものじゃない。
本当は順位争いに勝つ自信がなくて、辟易としてるんだろ!?

(Will, 「Club SLAZY -Another world-」)

 クラブスレイジーではないどこかへ行こうとするウィルが、アクトを誘うときに言う台詞。

 このときの“伝説“というフレーズに驚きました。クラブスレイジーの伝説はキング。他の場面でこのフレーズが出てきたことはおそらくありません。

 ウィルはキングと面識があるはずなんです。トップエース・キングの時代、彼はファイブスターだった。それならキングが伝説と言われていることもおそらくは知っているはず。

 これはちょっと強引な仮説ですが、もしかしたらウィルはキングの伝説に少し心惹かれる部分があったんじゃないでしょうか? クラブスレイジーを出ていくことで、檻から飛び出すことで、伝説になれるという考え。
 もしここをそう捉えるなら、突然失踪したことで伝説になったというキングについての仮説が少し補強されるかもしれない。

 ウィルがもしキングの姿に憧れる部分もあったなら、本当にキングは伝説だなあ、と思ったりしました*11

*1:4でのNJの発言からは、やはりオッズこそ次期トップと多くの人に認められていた雰囲気が感じられるので

*2:パンフレット年表より:「〜トップエースのプレッシャーに押しつぶされる。」とあるが、ただトップのプレッシャーだけではなくオッズを抜かしトップになったことでより強くそれを感じたのかもしれない

*3:オッズがまだサードスターなため

*4:CSL5パンフレット年表より:6年前はトップとセカンド不在(キングもオッズもいない)。それよりは手前

*5:5から見た場合は半年前

*6:“自分探しの旅”と称してUWへ行っていた期間はノーカウントとした場合

*7:トップエースになる前までのキングの表に出てくる性格は少し異なっていたと私は解釈しています、そのうち詳しく書きます

*8:2と4の整合性を求めるのはちょっとアレかな。明らかにあの時代を4で描かれていた8は生きていたはずだけど、2のブルームは知らない

*9:2において、クールビーもキングに反発しています。オッズ派みたいなものがあったとしたらクールビーのように反応するでしょう

*10:おそらく殆どの人間にはキングが消えた理由が分からず、謎のままだったはず

*11:もし本当にこの通りで、ウィルがキングに憧れたのだとしたら、あまり二人に関わりはなかったのかもしれない。トップエースとして表面に出てくるキングの像だけ知っていたのかも。ウィルの理想とするトップエース像だったのかもしれない